「第2のふるさと」づくりで人も地域も共にプラスになることを目指す

ふるさとワーキングホリデーは2017年から総務省が主体となって始めた取り組みで、主に都市部で暮らす若者が地方地域で働いて収入を得ながら、就労や休日の中で地域住民や企業との交流を通して『リアル』な暮らしが体験できるプログラムです。
「地域との交流を深めたい。」「都会では体験できない経験をしたい。」など、地方との関わりや地域貢献への関心があっても機会がないと諦めていた若者に地域との新しい関係を生むきっかけを提供しています。また、地域のファンづくりに加え地域の活性化や、将来の定住につながることを目標とした取り組みとなっています。
南魚沼市では、2022年から事業を開始し、既に全国から約90名が参加しました。
滞在期間中は参加者同士の交流はもちろん、地元で活躍する地域の方々との交流もあり南魚沼のリアルが体験できるプログラムとなっています。
プログラム終了後も相互の関係性を終わらせることなくつながり続けることで
参加者の「第2のふるさと」となっていくことを目的として取り組んでいます。
また、就労先として取り組みに協力いただいた事業者は10社を超え、農場やスキーリゾート、宿泊施設や製造業など幅広い業種で参加者を受け入れています。
受け入れ先事業者を始め、参加者と交流を持った地域の方々も回を重ねるごとに増え、都市部に住む若者たちに南魚沼の魅力が伝わり、新しいつながりを生む最初の第一歩となっています。地域の活性化やこれからの未来につながる可能性を含めた、人も地域も共にプラスになることを目指した取り組みです。

● お問い合わせ

一般社団法人 愛・南魚沼みらい塾

TEL.025-788-1828

(月〜金 10時〜16時 ※祝祭日は除く)

活動の様子はSNSでもご覧いただけます。

▶️Instagram

武蔵野大学 グローバル学部グローバルコミュニケーション学科3年/東京都出身/就労先 ryugon

将来は旅館で働くことを希望し、就労場所から南魚沼市を選んだという人見さん。「他の自治体も検討しましたが、ryugonさんの雰囲気に惹かれ南魚沼市でふるさとワーキングホリデーに参加することを決めました。」
就労先ではお客様のお出迎えやお見送り、朝食の配膳やご案内、ラウンジ内のカウンターでの接客等を行った。
「今回の就労では『周りを見る力』を養えたと思います。お客様の状況を見てかける言葉を変えたり、状況を判断して対応が変わるので大変な部分もありましたが貴重な体験ができました。地元でも有名な歴史ある旅館ということで緊張感を持って働き、自分なりにお客様と向き合うことで『ありがとう』と声をかけていただいた時はやりがいを感じました。お客様をお見送りした際に笑顔で手を振って帰られた時は本当に嬉しかったです。」

今回の就労で将来の自分を具体的にイメージできたという人見さん。
「実際に働いたことで、旅館業に対する想いが更に強くなりました。貴重な体験ができたと思います。」
滞在中は携帯電話をほとんど使わなかったという人見さん。共同生活での過ごし方を伺った。
「共同生活することに緊張していた部分もありましたが、2週間楽しく過ごすことができました。一日一日がとても濃く、滞在中ほとんど携帯電話に触れていないことに驚きました。SNSや動画投稿サイトを見たいという気持ちよりも、日に日に参加者とのコミュニケーションの時間を大切にしたいと思うようになりました。滞在先のリビングでの団らんが一番の思い出ですね。色々な話を参加者としたのですが、この何気ない時間がとても良い思い出になりました。たった2週間で仲の良い友達にしか話せないようなことも腹を割って話せる関係を築くことができました。また、参加者全員分の夕食を作ったことや同じ屋根の下で生活をする中でお互いを助け合い、周囲を気遣う気持ちが磨かれ、参加者全員の団結力が上がったと感じました。参加者と滞在中に満天の星空を眺めたことや、足湯でのひと時も思い出です。就労だけでなく参加者や地元の方との交流もあり、観光旅行とは違った楽しさのある充実した2週間でした。」

滞在を通して人見さんは『人との出会い』が南魚沼市ふるさとワーキングホリデーの魅力だと語る。
「参加者や就労先、滞在先の関係者や地元の方など東京では味わえない関わり方を体験することができました。滞在先を一歩出ると地域の方が『こんにちは』と挨拶してくださり、地元の方の温かさを感じました。また、就労や共同生活を通して他人同士が切磋琢磨して成長できる機会が得られるのはふるさとワーキングホリデーならではの魅力だと思います。知らない土地に飛び込むことは勇気がいると思いますが人生は一度きり。絶対に後悔しない体験ができると思います。」

明治大学 情報コミュニケーション学部1年/千葉県出身/就労先 舞子スノーリゾート

佐藤さんは今年から都内の大学に入学、今回のふるさとワーキングホリデー唯一の1年生参加者だ。
「基礎ゼミナールという1年生向けのゼミ活動の担当教授が南魚沼のふるさとワーキングホリデーを紹介していて、このプログラムを知りました。」
既に卒業後の進路を意識し、企業インターンにも参加したという佐藤さん。企業インターンとは異なり就労をしながら地元の魅力も体験でき、地方創生に関わりながら参加者と集団生活を体験できるこのプログラムに惹かれ参加を決めたそう。

「14日間親元を離れて就労する経験は初めてで不安もありました。滞在中盤は実際乗り越えられるか心配でしたが、振り返ってみるとあっという間でもう終わってしまうのかと感じています。」
就労先は舞子スノーリゾート内で夏場に行っているグランピングエリアに配属。慣れないながらも一生懸命に取り組む姿勢に受入企業からも感心の声が上がっていた。
「就労先では宿泊テント内の片づけやデッキの掃除、お客様のお出迎えや設備紹介、部屋への夕食出しや食事内容の紹介を行っていました。仕事は忙しく厳しい面もありましたが、得るものも多く企業インターンとは違った学びが多くありました。接客業が初めてだったこともあり、言葉遣いや所作、順序立てて仕事を行うことや、お客様の状況を判断して行動するなど接客の基礎を学べました。まだまだ学ぶことは多いですが、企業インターンとは違い、社会に出ていく上で必要なスキルを学べたと思います。」

また、南魚沼は滞在先で共同生活を行うことが特色の一つでもある(希望があればホテル滞在も可能)が、年齢や学年を超えた交流があったそうだ。
「ワーキングホリデー参加前は他人との関わりがここまで深いとは思っていませんでした。共同生活では上級生の参加者が積極的に声をかけてくれたことで緊張がほぐれ笑顔にさせてくれました。普段の大学生活で他学年の方と話す機会は全くないのですが、滞在を通して先輩方が率先して家事をしてくれたり、思いやりのある言葉を掛け合ったりと他の参加者の行動から学ぶことも多かったです。参加者はもちろんスタッフの方々とも交流が多くあり、最初の印象とは違ったものになりました。」
「休日には就労が休みの人と一緒に市内観光へ行きました。訪れた場所の一つに雪を使った貯蔵施設「雪室」があったのですが、人間と自然の共存を体感できとても印象に残っています。また、南魚沼には温泉も多くあり就労後、温泉で身体を休めるといった贅沢な環境も気に入りました。まだ行けてない温泉が多いので、近いうちに南魚沼に戻ってきたいと計画しています。就労だけでなく地域の良さを体験しながら滞在できることがふるさとワーホリの他にはない魅力ではないかと思います。」

玉川大学 リベラルアーツ学部2年/神奈川県出身/就労先 ザ・ヴェランダ石打丸山

この夏は「挑戦」という目標を掲げ、新しいことや自分がやりたいことに積極的にチャレンジしようと決めていたという望野さん。ふるさとワーキングホリデーの存在は他自治体でふるさとワーキングホリデーに携わっている大学の先輩から紹介されて知った。
「南魚沼市は過去のふるさとワーキングホリデーに参加した学生がスタッフとして、主体となって活動していることを知り興味を持ちました。新しい場所で新しい人と出会うことで日常を抜け出し自分自身を見つめる時間が作れることや、人や地域との繋がりを作りたいと思い参加を決意しました。また、自然豊かな環境と「雪」の恵みで育まれたお米や野菜にも惹かれました。」
就労先は石打丸山スキー場内にあるカフェ「ザ・ヴェランダ石打丸山」。主にドリンクの作成や食事の仕込みの補助、ホールやテラスの清掃などを行った。
「お客様や地元の従業員の方とのコミュニケーションが多く楽しく働くことができました。お店の顔として緊張感もありましたが、お客様に素敵な思い出を持って帰ってもらいたい気持ちを忘れずに、海外の観光客の方に英語で接客してみたりと慣れないことにも積極的に挑戦しました。休憩中に南魚沼の景色を眺めながら過ごした時間は都会では感じられない贅沢なひと時でした。」
滞在先の施設での共同生活も彼女にとっては大きな挑戦だった。

「私は人と話すことに苦手意識を感じていて、初対面の相手と共同生活することに緊張や不安もありました。苦手意識を克服しようと参加者や関わる人たちに自分から話しかけること、参加者全員と一対一で話すことを滞在中の目標にしていました。目標は達成でき、振り返ってみると『新しい出会いを楽しむ自分、人に興味がある自分』を発見し、自分自身の成長を感じています。また就労がない日に参加者全員の夕食を担当した時は量の多さに苦労しましたが、参加者と相談して献立を決めたり、その日の出来事を話しながら「おいしいね」と食べる時間が大好きでした。参加するまでは就労して日々を過ごすイメージでしたが、共同生活を通して毎日の何気ない出来事がとても楽しく充実し、参加者同士がお互いに支えあう関係性を築けた2週間だったと思います。」
また、滞在先の運営スタッフや地元の中高生など地域の人との交流も行い、濃い2週間だったと振り返る望野さん。

「滞在中、南魚沼市で行われている中高生の地域探求促進プログラム『youkeyプロジェクト』に参加したのですが地域の中高生と話すことで自分を客観的に見ることができたり、自分の考え方が広がりました。プロジェクトに関わる地域の方や運営スタッフの方も温かく対応してくださり、2週間の交流で南魚沼に『おかえり』と迎えてくれる人たちがたくさんできました。正直知らない土地でしたが、この経験で南魚沼市が必ずまた戻ってきたい場所となりました。今では自然豊かであたたかい街の南魚沼が大好きです。これから参加したいと思っている人は少しの勇気でいいので飛び込んでみてください。南魚沼で大切な仲間と出会い、素敵な経験を得ることができると思います。」

早稲田大学 国際教養学部4年/東京都出身/就労先 hakkai株式会社

浦部さんは間もなく卒業を控える4年生。友人が他自治体でのふるさとワーキングホリデーに参加した話を聞き、知らない土地で「働く」という形で地域と関わることに興味があり参加を決めた。
「南魚沼市の運営方法や純粋にものづくりに興味があること、就職先に強い関連があるものづくりの会社に魅力を感じ決めました。調べている中でhakkaiさんは日本を代表する精密部品やプラスチック製品等を製造するものづくりのトップ企業であることがわかり、このような企業で就労できることは貴重だと考えたのが大きな理由です。実際に就労してみると、社員の方が自分の意見を素直に聞き入れてくれ、チームの一人として迎え入れてくださる雰囲気が社内全体にありました。細かい工程も一つ一つ丁寧に説明していただき、どんな小さなことにも妥協せず更に良い製品をつくることに努力を惜しまない姿勢から社員の皆さんがプライドを持って働いていることがとても印象的でした。」
また、滞在中は共同生活を通し自分の役割の変化を感じたそうだ。

「今までは最年少としての参加が多かったのですが、今回は最年長参加者として集団生活で『残る人』を作らないことや会話の『ボールを作る、投げる、持っていない人を作らない』という意識を持って生活しました。滞在中は参加者一人一人にだんだんと仲間意識が芽生えましたし、最初から最後までお互いにリスペクトがあったのがよかったです。地元が同じで学校が違う友人を誘って参加したのですが、彼の協力もありそのような雰囲気が作れたと思います。」
初対面の参加者が多く、共同生活するにはハードルが高いと感じる人も多いかもしれないが、南魚沼での共同生活の楽しさも教えてくれた。
「就労が多くを占めると思っていましたが今回参加してみて、休日や就労後もイベントがありすごく楽しむことができました。夕食で参加者全員分を用意することがあり量が多く大変でしたが、出来上がった時の達成感や楽しさはひとしおでしたね。南魚沼の米やしいたけなどの食材のおいしさを感じたり、近くにある坂戸山や雷電様の水と呼ばれる地元の銘水を見に行ったりと市内の食や自然の魅力も感じることができました。」

最後に参加を通して浦部さんが感じたことを伺った。
「ふるさとワーキングホリデーは働くという部分で企業のインターンと同じですが、ふるさとワーキングホリデーには『不確実性』があると思います。企業インターンは既にデザインされているのでどうしても満足できる範疇が決まってしまいますが、ふるさとワーキングホリデーの魅力は細部までデザインされていなくて不確実な分、プラスに傾いた時の満足度の範疇は定まらず、参加する人次第で満足度が変わるプログラムだと感じました。僕は関わった人たちの温かさで大満足の滞在となりました。今回参加してみて良かったものがたくさんある中で、やはり南魚沼で出会った『人』が魅力的で、東京から来た僕には地元の方のふるさと愛や生まれた土地に対するプライドに驚かされました。関わった方々が、新しい人に対していつでも迎え入れてくれる温かさを感じました。これからはお世話になった南魚沼にどうやって還元していけるか考えています。少しでも興味がある人にはぜひ参加してほしいプログラムです。」

東京大学 薬学部2年/東京都出身/就労先 小澤農場

「大学2年生の今、このタイミングで人生を見つめなおしたいと思って来ました。」
佐藤さんは東京都出身の大学2年生。幼少期には山梨県や長野県にも居住経験があり、将来は山の見える場所で暮らしたいという想いもある。
「都会から離れた場所で異なるバックグラウンドを持つ人たちと一つ屋根の下で生活を共にする、南魚沼でのふるさとワーキングホリデーは自分の凝り固まった頭を柔らかくする素晴らしい機会だと考えました。この2週間で将来の選択肢を含め、自分の視野を広げるきっかけになると思い参加しました。」
参加場所に南魚沼市を選んだ理由を伺うと、「新潟県内に親戚がおり、冬は毎年南魚沼にスキーに訪れていることと、県内で農村体験に参加したこともあって新潟に縁を感じ関心を持ちました。また、ふるさとワーキングホリデーのポータルサイト内で『ひとと話し、考えることで、今までになかった自分について考える機会。』という南魚沼市のプログラムの趣旨にも惹かれました。」
就労先は小澤農場を希望し、しいたけの収穫や稲刈り、畑の草取り等を行った。

「東京ではケーキ販売のアルバイトをしているのですが、ある時商品が出来上がるまでのプロセスをほとんど知らないことに気づきました。プロセスの一つ『作物を育てる』現場に興味があり、農業という自分の専門外の分野を体験することで一つの問題に対しても多角的な視点を持って判断できると考え希望しました。」
実際に就労を体験し、自分の中で大きな気づきがあったと佐藤さんが教えてくれた。
「普段口にしている食べ物は多くの方々の苦労があって出来上がっていることを体感できました。自分の身をもって理解できたので私にとって非常に有意義な時間でした。農業は大変という方も多いですが就労の8日間は本当に楽しく、特に青空の下で働くことがこんなに気持ちのいいものだとは思っていませんでした。大きな空の下で稲を刈り、コンバインに乗せてもらった日は最高の思い出になりました。今回は体験できなかったスイカの収穫に来年は挑戦したいと思っていて、既に来年の参加も計画しています。」

「就労前は『農家の方はヨソモノを入れない』というイメージがありましたが、社長さんを始め従業員の皆さんが本当に温かく迎え入れてくれました。世間一般でいう「やるべきこと、やらなければいけないこと」ではなく、「自分の本当にやりたいこと」をやっている皆さんの姿勢から農業に対する愛や情熱を感じました。私はこれまで勉強が全てだったのですが、小澤農場の方々のように情熱をもってできることをまだ見つけられていません。本当に自分がやりたいことは何かと考えさせられました。」
最後に南魚沼でのふるさとワーキングホリデーの魅力について伺った。
「南魚沼の魅力はきれいでおいしい水やお米などの食べ物やスキー場の近さや山の迫力もありますが、やはり『人』が一番の魅力だと思います。都会に住んでいる私にとって、ここでの密な人間関係が新鮮で魅力的でした。今回の滞在を通して南魚沼での出会いや繋がりを強く感じることができたので、魅力的な『人』との関わりが南魚沼ふるさとワーキングホリデーの一番の魅力だと思います。パソコンでワンクリックするだけで非常に貴重な体験ができるはず。一歩踏み出すことを強くお勧めします。」