羽吹 唯人 さん

Yuito Habuki /23歳

南魚沼市五日町出身。クロスカントリースキー選手。県外の大学を卒業後、南魚沼市にUターン。エフエム雪国スキークラブ所属。2026年開催の冬季オリンピック出場に向け、日々研鑽を積んでいる。

2026年冬季オリンピック出場を目標に、南魚沼に活動拠点をおきながら、国内外の大会で活躍している羽吹唯人さん。南魚沼から世界へ挑戦する思いやウィンタースポーツの魅力、これからの展望について伺った。

南魚沼と共にオリンピックを目指す

クロスカントリースキーは「南魚沼」を体感できるスポーツ

「南魚沼から世界を目指したい」という思いを抱き、令和4年都内の大学を卒業後Uターンしたクロスカントリースキー選手の羽吹唯人さん。現在は地元のラジオ放送局エフエム雪国スキークラブに所属し、2026年開催予定のイタリア・ミラノコルティナダンペッツォオリンピック出場を目指している。
小学校4年生から大会へ出場し、競技の楽しさや厳しさを学び、小学校の卒業文集ではオリンピック選手を目指すと宣言。高校時代には全国高等学校総合体育大会(インターハイ)で2連覇を達成し、大学入学後はU20世界選手権、U23世界選手権に出場。その後は全日本選手権大会で4位、FISUワールドユニバーシティゲームズ※では個人7位、日本チームのリレーでも3位の成績を収めている。
クロスカントリースキーの魅力について、羽吹さんはこう語る。
「開放感のある大自然の中で自由に滑れるところです。一つとして同じコースはなく、景色の違いはもちろん、登りや下りがきついコース、平坦なコースなど様々なコースを楽しむことができるウィンタースポーツです。」
クロスカントリースキーはスキーの原点といわれている競技で、元々は雪原を歩くための移動手段として生まれた北欧発祥のウィンタースポーツ。南魚沼市のような豪雪地域では小学校から授業の一環として取り入れられており、雪国の住人にとっては身近なスポーツの一つである。
スキー場のゲレンデを滑走するアルペンスキーとは違い、斜面を下るだけでなく、地形を活かした平地や登りなどのアップダウンがある。短い距離を短時間で滑走する他のスキー競技と比較すると走行距離が5㎞~50㎞と長いため、持久力と技術、更に精神力が求められる競技だ。
全身を使い雪の上を走ることから、競技のみならず生涯スポーツとしても注目されている。フィンランドやノルウェーなどの北欧では国民的スポーツであり、人気が高いウィンタースポーツだ。他のスキー競技と比べると幅広い年齢層で気軽に取り組めることも特徴で、「クロスカントリーが盛んな地域では、子どもからおじいちゃんやおばあちゃんまで楽しんでいる光景が日常的に見られます。」と教えてくれた。
南魚沼では冬季間、欠之上クロスカントリーコースの他、田んぼに積もった雪の上など自然の中でクロスカントリースキーを楽しむ人もいる。自分のペースで滑ることができ、年齢に関係なく始められるので、スキー未経験者にもお勧めのウィンタースポーツである。冬の透き通る空気の中、南魚沼ならではの景観を眺め、壮大な自然を思う存分に体感していただきたい。

※ FISUワールドユニバーシティゲームズ … 国際大学スポーツ連盟(FISU)が主催する学生を対象にした2年に一度の大会。

周囲の「応援」が自分を強くする

羽吹さんは大好きな南魚沼から世界で活躍する選手になりたいと、令和4年に(株)エフエム雪国へ入社し競技を続けている。入社後、環境に変化はあったのだろうか。
「トレーニング中に、『がんばってー!』と地元の方に応援をいただくことや、『羽吹唯人さんですか。』と声をかけていただける機会が増えました。地域の方々に注目していただいているんだなと実感しています。」と笑顔で教えてくれた。
「多くの方に南魚沼の魅力を知っていただくきっかけになったり、地域を好きになってもらえるような情報を発信していきたいです。競技で活躍することで全国に南魚沼をアピールし、多くの方に地域の良さやウィンタースポーツへの関心を持っていただけるよう発信できたらと思っています。」と目標を抱き、日々の業務に励んでいる。
業務としては主に営業を担当し、FMゆきぐにが発行している『雪国新聞』購読のお願いや、イベント協賛依頼、ラジオや新聞に掲載する広告の営業を行っている。また、羽吹さんが協賛を受けている八海醸造(株)提供のラジオ番組では、大会での結果報告や活動報告を発信している。
普段の営業活動から協賛に繋がる事もあった。コアコンディショニングスタジオ『Whitepeaks』では、営業で訪問したことがきっかけで協賛が決まり、大会後のメンテナンスや身体のパフォーマンスを上げるコンディショニングなどの応援をしてもらっているという。
「学生時代と比べると、市民の皆様や南魚沼の企業の皆様、後援会の方々にサポートいただきながら競技を続ける事にプレッシャーを感じる部分もあります。応援していただいている分、結果を出すことや地域貢献で恩返しをしていきたいと思っています。」と決意を語る。
地元の企業に就職したことで、業務を通して新たな交流も着実に増やしている羽吹さん。『応援』がスポーツ選手のパフォーマンスに良い影響を与えることは立証されているが、南魚沼で新たな人とのつながりを築き、応援してくれる人の輪が広がることが、世界を目指す彼の原動力になっていることは間違いないだろう。

FMゆきぐに

南魚沼市・湯沢町をカバーする地域密着コミュニティエフエム。FMラジオ放送の他、雪国新聞を発行し地域の魅力を発信している。

●〒949-6680 南魚沼市六日町106-1
●TEL.025-778-1500
●HP/http://www.fm762.jp

弱い部分を見つめ強さに変えていく

強い志を持ち続けながら、3年後を見据えて活動していくために、どのような気持ちで日々過酷なトレーニングに取り組んでいるのか。
 「『弱さは強さ』という言葉を大切にしています。人は弱い部分があるからこそ成長でき、幸せや成功を掴めると考えています。これはスポーツにも繋がり、自分の弱点を克服し強さに変えていくことで成長でき、納得のいく結果が残せると信じています。」
 今年は筋力強化を課題とし、ウエイトトレーニングなどを中心に専属のフィジカルコーチと一緒に日々練習に励んでいる。
 雪がない時期は主に、ローラースキー※やトレイルンニング、他にもロードバイクや登山などを行っているそうで、活動拠点である南魚沼の練習環境は魅力的だという。
 「南魚沼は雪が多く、豊かな自然の中でのびのびとトレーニングができます。無雪期には登山やトレイルランニングも行っていますが、登山に適した山が多いことも魅力の一つです。さらに美味しいお米や食べ物が豊富なので、南魚沼の環境や食べ物を力に変えてトレーニングに取り組めています。」
 八海山をはじめとする越後三山や高い山々に周囲を囲まれている南魚沼は、登山やトレイルランニングに最適な山が多い。また豪雪地帯ならではの、雪の恵みで育まれたお米やスイカ、きのこなど食べ物についても魅力的な食材が多く、アスリートである羽吹さんにもプラスに働く要素が多いようだ。

Whitepeaks

健康寿命を伸ばすことをコンセプトに令和3年10月に開業。ストレッチポールを使用した身体のゆがみ改善や、4DPRO(バンジーフィットネス)を取り入れたトレーニングなどが行える。スタジオから望む雄大な景色は圧巻。

●〒949-7101南魚沼市五日町2696
●TEL.025-775-7929
●HP/https://www.whitepeaks.co.jp

世界へ羽ばたく選手になりたい

最後に今後の夢や展望を伺った。
 「まず2026年のオリンピック出場に向けて全力で競技に打ちこみます。市民の皆様に期待される存在になり、世界へ羽ばたいていきたいです。今シーズンは全日本スキー選手権大会で表彰台に上がり、日本代表入りを目指します。将来的にはこれまでの経験を活かして、次世代を担う子どもたちにスポーツの素晴らしさを伝えていきたいと思っています。」
 現在も南魚沼のジュニアクラブで小・中学生と交流があり、次の世代へ向けての育成にも視野を広げている。子どもたちにとっても、国内外で活躍する羽吹さんと関わる経験は貴重なものに違いない。彼の今後のキャリアがどのように地域に還元されていくかこれからが楽しみである。
 終始穏やかな笑顔で真摯に受け答えをする羽吹さんの姿が印象的だった。インタビューを通して伝わってきたのは『自分が世界で活躍する選手になり、大好きな南魚沼をもっと元気にしたい。』という強い気持ちだ。2つの熱い思いを抱きながら、世界へ挑戦する羽吹さんにエールを送りたい。

美味しいランチでリフレッシュ

「勤務先から近く、同僚の方とよく利用しています。新鮮な海鮮が食べられることはもちろんですが、メニューのバリエーションも豊富なのが魅力的ですね。」この日のランチは、Little北海道のにぎり8カンと冷たいお蕎麦のセットを注文。

Little 北海道

「一食に感動を」をモットーに、新鮮な魚介類を手ごろなお値段で提供している。一人ランチから宴会まで、幅広い用途で利用が可能な人気店。

●〒949-6680 南魚沼市六日町117-1
●TEL.025-778-0228
●HP/http://www.sep-i.co.jp/