星野 望 さん

Nozomi Hoshino /40歳

南魚沼出身。令和元年12月にUターンし、ピラティスやセラピストの資格を活かしプライベートサロン「Atelier Pono」を経営するほか、令和4年10月から開始した起業女子交流会の発案、主催に携わっている。

南魚沼でプライベートサロン「Atelier Pono(アトリエ ポノ)」を開業した星野望さん。今回は起業のきっかけや起業に対する心構えを伺った。

未病ケアの大切さを伝えたい

マッサージや心身のケアはご褒美ではなく予防医療

「縁あって出逢う人達が健幸であり続けられるお手伝いをしたい!」という思いから、令和2年9月にプライベートサロン「Atelier Pono(アトリエ ポノ)」を開業した星野望さん。サロンではよもぎ蒸しやインナーマッスルを鍛えるためのピラティス、腸もみを行い、腸内環境をよくすることの大切さを普及している。
星野さんは令和元年12月に両親の介護をきっかけに南魚沼へUターン。それまでは東京都でリラクゼーション業界に勤務し、新規事業立ち上げや人材育成などを担当していた。
「当時、仕事は充実しており、やりがいも感じていたため仕事に没頭する毎日だった。」と星野さん。
そんな中、頭痛や原因不明の身体の痛みなどの体の不調に悩まされるようになったという。そんな時に友人からファスティングをすすめられたことで、自分自身の健康について考えるようになった。
ファスティングとは、デトックスや腸内環境の改善を期待して実施される体の整え方だ。半日~数日程度、水以外の食事をとらずに胃腸をはじめとした消化器官を休ませることで、老廃物や毒素を排出する働きが強化するといわれており、腸内環境が整うことで、免疫力の向上や肌荒れの改善効果なども期待できる(※方法や効果はそれぞれの体質によるため、正しい方法を確認のうえ実践してください)。
星野さんもファスティングを実践。するとそれまでの体調不良がすっかり改善され、腸内環境を整えることの大切さを実感し、その経験が南魚沼でサロンを開くきっかけとなった。
Uターンし、両親の介護をしながら、ピラティスのインストラクターの資格を取得し、また前職で身に付けたセラピストの知識を活かしプライベートサロンのオープンに漕ぎつけた。
全国的に少子高齢化が加速する中で、いつまでも元気に自立した生活を送るためには健康寿命を延ばすことが必要とされているが、病気にならないように予防する未病ケアや予防医療に時間とお金をかけている人はどのくらいいるのだろうか。
いまだマッサージや心身のケアは「自分へのご褒美」や「美容のため」という感覚を持っている人が多い。星野さんはその感覚を未病ケアや予防医療といった観点に向けたいと考えている。
「私は子どもの笑い声、そしてお年寄りの温かな姿が地域の中にあることがやっぱり心地よいと感じます。南魚沼にUターンし、開業したからには、南魚沼は誰もが健康で幸せな生活を送れる『健幸のまち』として活性化していけばいいなという思いをもって、取り組んでいます。」と星野さんは語ってくれた。

多方面に腸の大切さを広めたい

「腸もみ」と聞くと何か特別な技術が必要なのだろうと考えるが、正しい知識と方法を身につければ、誰でも自分でできるようになるものであり、星野さんはそうあってほしいという気持ちでサロン運営をしている。
リピーターが増えることよりも、まずは腸の大切さを世代問わず知ってもらうこと、そして、病気になったら治療をするのと同じように健康であり続けるために未病ケアが当たり前に必要であることを広めていきたいという。
そのために現在は、オンライン講座や他業種とのコラボ、例えば美容室にきた子ども連れのお客さん向けに、子どもが髪を切っている間に腸ケア講座を行うなど、多方面から腸の大切さを伝えていく活動に力を入れている。
市内介護施設向けの講座等の実施も検討していたが、コロナ禍ということもあり、思うように活動ができなかった。未病ケア・介護予防が必要な高齢者層への普及活動が今後の目標・課題だと星野さんは感じている。

同業者と一緒に業界を盛り上げていきたい

「私一人だと活動にも限りがあるし、ライフスタイルが変わることは誰にでもありうることなので、同じ考えを持つ仲間を増やすことが必要だと考えています。現在、第二子を妊娠中なので、出産後は、自身の活動の仲間を増やすため、スクール事業の展開を考えています。同業者=ライバルという考えではなく、一緒に業界を盛り上げていこう!という気持ちで、つながりを広めていきたいです。
また、未病ケアは介護予防が必要な高齢者だけではなく、これからを担う若い世代にとっても必要なものです。そのため、学校に協力いただいて子ども向けの特別授業の開催や市内企業と連携し、従業員の健康維持のための講座の提案などを考えています。
市内には様々な立場で奮闘している人がたくさんいます。そのような人たちの健康のお手伝いができたらと思っていますね。」と星野さんは語ってくれた。

起業家たちのつながりをつくりたい

星野さんと市内で訪問美容「totte(トッテ)」を運営する野澤さんが中心となり、令和4年10月から、起業をした女性や起業に興味のある女性を対象とした「起業女子交流会」を開催している。
女性の個人事業主たちが出逢って繋がることを目的とし、令和4年度は3回開催し、設定したテーマをもとに起業に対する想いの共有や情報交換を行っている。
星野さんと野澤さんは市の創業支援セミナーを通じて知り合い、お互いの事業展開や悩み相談などをしていくうちに、個人事業主が情報交換する場や繋がる場が欲しいと考えるようになり、これが「起業女子交流会」が開催されるきっかけとなった。この取り組みは同じ悩みをもつ女性起業家からの関心を集め、1回目は18人、2回目は24人の女性起業家が集まった。
今後どのような人に参加してほしいか星野さんに伺ったところ、「女性限定ではありますが、これから起業する人、起業したての人、起業して数年が経つベテランの人まで、いろんな人に参加してほしいです。また、私もそうですが、女性起業家の中には家庭と仕事を両立させている女性も多いため、小さな子どもと安心して一緒に参加できるよう託児体制を整えています。今後も、実際に顔を合わせて話をし、交流会の後も継続的に繋がりをもてるようなものにしていきたいです。」と語ってくれた。
南魚沼においても女性起業家たちの繋がりの輪が広がっている。

必要なことは【前向き】であること

最後に事業を行う上での心構えを聞いた。「新しい事にチャレンジするときに必要なのは向き不向きよりも【前
向き】であることだと思います。技術・知識・気持ちの3つを大切にすれば、『地方である』ということは決してマイナスにならないと思います。」と星野さん。
確かに地方は都会に比べると、出会える知識や情報量が少ないのは事実かもしれない。『地方ではこんなことできない』と後向きにならずに、積極的に外からの知識を得て、信念をもって事業を展開することが大切であるということを星野さんは教えてくれた。
星野さんの熱い想いが「起業女子交流会」などを通じて、南魚沼で起業を目指す人々に波及していくことだろう。

プライベートサロン「Atelier Pono(アトリエ ポノ)」

【縁】あって出逢う人達が【健幸】であり続けられるようなお手伝いをしたい!という思いから令和2年9月に1号店を開業。現在は市内に2店舗を構える。

●1号店 〒949-6373南魚沼市上野248-1
●2号店 〒949-7229南魚沼市前原町850-3
●TEL/050-3472-2340
●HP/https://www.dansama0928.com

起業女子交流会の仲間たちとのランチ

「普段のランチは施術の合間に済ませることが多いですね」と星野さん。しかし、この日は起業女子交流会が1月29日に実施したウィンターファミリーイベントの打ち上げを兼ね、「うまいもん屋 山口屋」でランチ会。起業女子交流会のメンバーは子育て中のお母さんも多く、なかなか夜集まることができないのでイベント成功の打ち上げをランチ会で開催した。普段は昼間営業を行わない「うまいもん屋 山口屋」だが、オーナーが星野さんの知人ということもあり、営業してくれたとのこと。「子育て中であったり、仕事に没頭しているとなかなかみんなで集まれる機会も少ないですが、こうやっておいしいお好み焼きやもんじゃ焼きを囲みながら会話すると新しいアイディアも生まれてきますね。」

うまいもん屋 山口屋

もんじゃ焼き、お好み焼き、鉄板焼きのほかにも季節のおすすめメニューが充実している。店主の気さくな人柄も人気の秘訣。

●〒949-6680 南魚沼市六日町596-1
●TEL/025-773-6026
●HP/http://muikamachi-grm.com/yakitori/yamaguchiya.html