2022年8月に南魚沼ではじまった、「ふるさとワーキングホリデー」。このプログラムは主に首都圏在住の大学生が参加し、就労、休日の観光などを通じて地域と関わり、自らの知見を増やしていくためのものです。この記事は「ふるさとワーキングホリデー」に参加した明治大学の学生が、LIFE inの企画、取材、執筆に携わり、作成しました。

あなたを必ず戻れなくさせる2週間

近年、南魚沼を含む日本の多くの地域で、首都圏への人口流出による人口の減少、働き手不足が課題となっています。南魚沼市が実施するワーキングホリデーには、大学生を始め首都圏に在住する若者が参加しており、一定期間南魚沼に滞在して、就労や余暇を通じて地域と関わることで、その地域での暮らしをリアルに体感し、その後も深い関わりを構築しています。
参加者同士の交流はもちろん、南魚沼で活躍する魅力的な人々との交流の中で、新たな自分を発見したり、南魚沼を第二のふるさとと呼べるような一生モノの関わりを得ることができる、そんなプログラムです。

参加の理由は?

青島 英里さん(以下敬称略) 私はいずれ市役所職員として静岡に帰ろうと思っています。この先、地域のまちづくりにかかわりたいと思い、いろいろと探している中でこのプログラムを見つけました。
農業の知識はありませんでしたが、将来的には農家の方々の視点にも立てるようになりたいという思いもあり、この就労先を選択しました。

始まる前と後で共同生活のイメージは変わった?

青島 来る前は女子が料理を作らなきゃいけないのでは、と想定していましたが全くそんなことはなく、実際は男子が全て作ってくれる日もありました。

「ワーク」と「ホリデー」の割り合いは?

青島 「ワーク」70%、「ホリデー」30%くらいかなと思います。でも働いていると時間が過ぎるのが早く、体感ではワーク30%、ホリデー70%くらいでした。

食事はどうしていたのか?

青島 朝食と昼食は兼続庵でおにぎりを作って持っていき、農家の方がくださる漬物と一緒に食べていました。コンビニでパンなどを買ったりした日もありましたね。夕飯はみんなで交代で作っていました。

自然を感じた瞬間は?

青島 歩くごとに何かしらの虫が飛び出してくるので農業している時は常に自然を感じていました。虫は苦手ですが、次第に慣れてきて動じなくなりましたね。

都市部にはないものを感じた瞬間は?

青島 農場の人はみんな幼馴染同士だったり、長年地元にいる人同士でつながりが強いように感じましたが、初めて行った日から仲間のように受け入れてくれる温かさがありました。

男子も一緒に楽しく料理

小澤農場

南魚沼の特産品である八色しいたけや八色すいか、南魚沼産コシヒカリなどを極力農薬を使わずに栽培する農園。若い人たちが多く在籍しており活気に満ちている。

●〒949-7236新潟県南魚沼市茗荷沢新田28番地1
●TEL/025-779-3621

参加の理由は?

木村 友香さん(以下敬称略) ワーキングホリデーの運営側の友人に紹介してもらいました。また高校時代に部活の合宿を湯沢町でやっていて、新潟に親近感を持っていたこと、湯沢に近いということでどんな場所か想像つきやすかったのも決め手の一つになりました。あとは非日常の体験をしたいという思いもあり参加を決めました。

具体的に経験した非日常とは?

木村 日頃、関わりを持つことがない人達と一緒に働くこと、共同生活をするということ自体が非日常でした。あとは自然が常に身近にあるという部分も私にとっては非日常でしたね。

『南魚沼」の印象は来る前と後で変わった?

木村 来る前は個人の商店が多いのかなと思っていましたが、来てみるとマクドナルドやイオンなどチェーン店がたくさんあり、ちょうど良い田舎という印象になりました。また地域の小さな商店の温かい雰囲気も印象に残っています。

2週間の収支は?

木村 金銭的にはプラスマイナスゼロか少しプラスくらいになりました。農場の方々と一緒に汗を流した経験や共同生活で得られた友情も含めて総合的にはとてもプラスになったと思います。

共同生活で友情を得られました

参加の理由は?

平山 音絵さん(以下敬称略) 私は今までずっと東京暮らしで田舎に行ったことがあまりなく、せっかくの大学生活なので二週間自然がある場所で過ごしてみたいと思いました。ここでの経験を通して自分がどうなるか、どう変わるか知りたかったというのもあります。

都市部で過ごす時間と南魚沼で過ごす時間の違いは?

平山 首都圏にいるときは1人で過ごす時間が多く、また日常の出来事もあまり意識していないというか、なんとなく暮らしていた気がします。南魚沼での暮らしは人との関わりが多く、日常でもごはんが楽しみだったりとか、時が経つのを忘れて景色を眺めたりとか、五感を使って人間らしい暮らしができていると感じました。

参加にあたり不安だったことは?

平山 川島高峰准教授の講義で紹介されたので誰が行くのかわからず友達ができるか不安でした。あとは南魚沼がどんな地域なのか全く知らなかったのも不安でした。

来てよかったと思った瞬間は?

平山 毎日のごはんが美味しくて、その度に来てよかったなぁと思いました。南魚沼はコシヒカリの有名な産地なのでお米はもちろん、野菜も本当に美味しく、嫌いだったトマトが食べられるようになりました。生活リズムが健康的で頭も体も使うので毎日ちゃんとお腹が空きますし、夕食を自分たちで作ったことも美味しく感じた一因かもしれません。

頭を使うシーンとは?

平山 私はLIFE inの編集作業に携わっていたので、そこですごく頭を使いました。あとは共同生活をする中で夕食を作り始めるタイミングやお風呂の順番など、一緒に暮らすみんなのことを考え、頭を使いました。

みんなでつくるご飯が楽しみでした

ザ・ヴェランダ石打丸山

2022年夏にオープンした新たなビュースポット。大パノラマの中で、地元食材を活かした食事やドリンクを楽しむことができる。

●〒949-6372新潟県南魚沼市石打1655
●TEL/025-783-2222
●HP/https://ishiuchi.or.jp/

参加の理由は?

横田 華さん(以下敬称略) 川島高峰准教授や、そのゼミの先輩から紹介されました。家族以外との共同生活や、山と田んぼに囲まれた「田舎」での生活など、東京ではできないことがしたいと思いました。また就活時の履歴書に「総務省が推進しているプロジェクトに参加」と書けるのも決め手の一つでしたね。

他の参加者とはどのくらいで打ち解けた?

横田 女子4人はすぐに仲良くなって、旅行に行く計画まで立てています。料理の時間などをきっかけに男子ともどんどん仲良くなりました。

参加にあたり不安だったことは?

横田 知り合いが一人もいなかったことです。ゼミの友達と一緒に参加するつもりでしたが予定が合わず、一人で参加することになりました。友達は現地で必ずできると信じ、ポジティブな気持ちで参加しました。

来てよかったと思った瞬間は?

横田 スキー場で景色を見ながら、地元の商店で買ったおにぎりと唐揚げ、メンチカツを頬張った時間です。遠くまで広がる田んぼや山の奥行き、空気のにおいなど「南魚沼」を全身で感じながら食べた味は格別でした。それとみんなでキッチンに集まって夕食を作っている時間が楽しかったです。それぞれの就労先の出来事を話しながら情報を共有したり、何気ない時間が一番楽しく、充実した時間だったと思います。

舞子スノーリゾートで働いてみて印象に残ったことは?

横田 働いている時に高原に吹き降ろす風がすごく気持ちよくて、それが印象に残っています。グランピングだけでなく、キャンプサイトもあるので今度はプライベートで来てみたいですね。

景色を見ながら食べたおにぎり最高

舞子スノーリゾート

グランピング施設やキャンプサイトがあり、絶景を眺めながらのアウトドアディナーや併設する舞子高原ホテルの温泉を楽しむことができる。

●〒949-6423新潟県南魚沼市舞子2056-108
●TEL/025-783-4100
●HP/https://www.maiko-resort.com/