一般社団法人 南魚沼シティマーケティング

渡邊 功 さん

Isao Watanabe / 46歳

南魚沼市出身で、元プロスノーボーダー。 現在、南魚沼市でオリジナルスキー・スノーボードを用いたクラフトツーリズムにチャレンジしている。

一般社団法人 南魚沼シティマーケティングの渡邊功さん、腰越一秋さん、小林幹雄さんは地元木材を利用したスキー・スノーボードの製造工場設立によるクラフトツーリズムで、地域ブランド醸成と地域経済の循環にチャレンジしています。

事業を始めたきっかけは?

渡邊 功さん(以下敬称略) 長年プロスノーボーダーとして様々なボードで滑ってきましたが、販売されているボードではなく、自分の思い通りに作ったボードで滑れたら最高だなと思っていました。周りの仲間も同じような考えを持っていて、すぐに意気投合し、準備期間を経て令和3年6月からこの事業を始めました。 まずは既にスキー、スノーボードの製造を行っている群馬県や北海道の工場を視察し、ノウハウを教わりました。北米では、地域の木材を使った板の製造工場を運営する地域ビジネスがあり、これをスキー観光が盛んな南魚沼に持ち込み、製造と観光を連携したクラフトツーリズムを展開することで、南魚沼らしい地域経済循環の体系ができるのではないかと考えています。

様々な工程を経てオリジナルボードが出来上がる。

セパレートになるバックカントリー用のスノーボード。スキーの様に履いて雪山を登ることができる。

事業を行う上で難しい点はどこですか?

渡邊 板作りでは材料となる木材が気温によって変化し、思った通りに曲がってくれないといった難しさがあります。そのため今回の南魚沼市チャレンジ支援事業補助金を活用して技術を持つ専門家をお招きし、研究を行い、徐々に製造する板の品質を上げてきています。今後も先進地の視察などを積極的に行い、技術習得に励みたいと思います。 また、広報活動が難しいと感じていますが、今後は自分たちが行っている事業を効果的に発信し、より多くのスキーヤー、スノーボーダーに自分で板を作る魅力を訴求していきたいと考えています。

オリジナルロゴ。

工場にはヴィンテージを含め多くのスノーボードが飾られている。

この事業の魅力は?

渡邊 自分の好きな板を一から作れるという魅力がありますし、実際に滑ってみて、すぐに改良ができるという利点があります。世界に1本しかないというプレミア感を感じてもらいたいですし、その板で滑れるという楽しみをぜひ知ってほしいです。 そもそもウィンタースポーツは自然の力を借りないとできません。この板は南魚沼地域の間伐材を有効活用して製造するので、南魚沼ブランドを醸成できるほか、環境負荷を低減できる効果も期待できるので、大切な自然にも恩返しができると考えています。

特注で製作したエッジを加工するための専用工具。

専用工具を使い卓越した技術で作業を進める渡邊さん。

今後の目標を教えてください。

渡邊 現在は私の自宅の一部を工場として使用していますが、将来的には本格的な製造工場を設置し、南魚沼初のスキー、スノーボードメーカーを目指したいです。 また、スキー・スノーボードの製造をツアー化し、宿泊してもらうとともに、実際に自分で作った板でスキー場を滑ってもらうという流れをつくることで、観光で南魚沼を訪れる人を増やしていきたいです。 小さいころにスキー板を作りに南魚沼にきた子どもたちが、大人になって自分の子どもを連れてきてくれるようになるのが夢ですね。

オリジナルボードの魅力について語る渡邊さん。