(株)魚沼スッポン 代表取締役

井口 陸弥 さん

Rikuya Iguchi / 27歳

南魚沼市出身。北海道での学生生活、首都圏での就職を経てUターン。現在は温泉を利用したスッポン養殖にチャレンジしている。

温泉を利用した加温養殖方法によるスッポンの養殖、販売にチャレンジしている井口陸弥さん。餌に南魚沼の特産品を配合することで地域資源とマッチしたブランド化を目指しています。

スッポン養殖を始めたきっかけ、経緯を教えてください。

井口 陸弥さん(以下敬称略) 北海道大学でアワビ養殖の研究をしていて、いずれは自分も事業として養殖に関わりたいと思っていました。大学卒業後、首都圏の会社に就職しましたが、その想いは持ち続けていました。
私の祖父が持っていた土地に温泉が掘削してあり、これを上手く利用すれば養殖の事業が展開できるのではと思うようになり、様々な水産物の養殖を検討しました。
スッポンは初期投資もサーモンやフグの養殖と比べて安く、ライバルになる企業も少ないこと、温泉のアドバンテージを活かすことで、通常出荷に3年かかるところを、1年で出荷できることなどの優位性がわかり、スッポンを養殖することにしました。また出荷する時の単価も他の水産物と比べ高いのも魅力です。

現在7gの稚亀。温泉を利用すると1年で100倍の700gに育つという。

南魚沼で新たな事業を展開する魅力は何ですか?

井口 首都圏での起業だと事務所の開設や初期投資など、地方で起業するよりも多くの負担が必要となります。また、地方に比べ起業にチャレンジする人も多く、よほど話題になることをしなければ埋もれてしまいます。
南魚沼では新しいことを始める人は目立ちますし、話題にもなります。市からのバックアップも充実しており、困ったことがあれば周りの人が相談に乗ってくれるということも南魚沼で起業する魅力ですね。

真剣な眼差しでスッポンの育成状況をチェックする井口さん。

温泉の利用で水温を高く保つことができる。

南魚沼市チャレンジ支援補助金をどのように活用しましたか?

井口 既にスッポン養殖を行っている事業者への視察に活用しました。大学で養殖の研究をしていたため、ある程度の知識は持っていましたが、スッポンの買い付け方法や飼育方法を実際に事業として運営している人の話を聞けたことは貴重な体験でした。また、視察先の人とのコネクションもできたので、この補助金を有効に活用することが出来たと思っています。

温泉を利用した養殖場。

元気に育っているスッポン。

今後の目標を教えてください。

井口 現在の養殖数は200匹ですが、いずれは1000匹の養殖を目指していきたいです。
あとは南魚沼ならではのスッポン養殖ですね。水産物は餌によって味が変わるといわれています。地域資源を活かすため、現在、青木酒造(株)さん、八海醸造(株)さんから酒粕をいただき、スッポンの餌に混ぜて南魚沼ならではのスッポン養殖にチャレンジしています。地域資源とマッチしたブランド化、付加価値を付けたスッポンを出荷したいですね。
ゆくゆくは私の事業が南魚沼を活性化する一助になればと思いますし、チャレンジ支援補助金など市やまわりの人の支援を受けて南魚沼の地域性を活かした事業にチャレンジする人が増えていってほしいと思っています。

酒粕を餌に混ぜることで南魚沼ならではのブランド化を目指す。

事業について熱く語る井口さん。